【やが君】続・続・選択問題−アイス篇−
アイスの木の棒を噛んだときの感触が嫌い。勝ち猫です。
ドーナツ篇の続きから。
※ネタバレ注意※
ドーナツ問題(アニメ版)
いきなり他力本願寺で申し訳ねぇ。この方の考察が参考になるかと。
じゃんけんを避けるために燈子が先に取った、というのは目から鱗でしたねぇ。
このくだりは後の記事でも触れます。
んでんで、やっぱ気になるのがアニメ版のドーナツポップのメンバー構成ですよ。
エンゼルクリームボール3つにオールドファッションボールが2つ、そしてハズレのように1つだけ紛れ込んだチョコファッションボール。何だこの不可解な攻撃的フォーメーションは。ん?何?ドーナツポップは組み合わせ自由の新商品?
俺が知ってるアレは「D-ポップ」だった!?しかもアレは発売終了?
おじさん何も知らなかったよ…
燈子が何を思ってこんなオーダーをしたのかは分かりませんが、ひとつ言えるのは、侑の「ずるい」の機会が減ったかもしれないっちゅうことですよ。
原作の6種一個ずつのドーナツポップを3ターン制、燈子先攻で取り合っていくとどうしても侑は不利になってしまいます。だから、最終決戦以前の応酬でも、もしかしたら侑の「ずるい」がありえたかもしれない。
しかしアニメ版の方は、上から取り合っていくと第二ターンまではイーブンに戦いを進める事が出来る。それ故最期の侑の「ずるい」が際立つのだった…とかね?
アイス問題(1)
正直すっかり忘れてました。アイス、1巻第4話「まだ大気圏」でも登場していました。ドーナツ問題とも絡めることができそうなので触れておきます。
これってアレですよね?アイスクリームの地層みたいなのを店員が掘削してくれるアレですよね?多分某アラサーアイスクリームでしょう。行ったことないからようわからんけど。アイスの種類の特定はやめておきます。
読み返してみるとここでもアイスが心情描写にフル活用されてますねぇ〜
侑、菜月、こよみ先生は白系のアイス中心にをチョイス。そのために、朱里が選んだ黒のアイスが目立ちます。ここに侑の味の好みが出ているなら、ドクドの戦いでチョコファッションボールではなくエンゼルクリームボールを狙ったのも頷けます。
おまけに朱里は黒い服着てますね。他の3人が明るい色の服(春コーデって奴っすか?)を着ているのでより一層彼女の失恋直後の胸の内が伺えます。
上のアイスが溶け出して、下の黒いアイスを覆い、飲み込もうとしているように見えます。黒いものがいいものなわけない。侑の独白との呼応に痺れます。
ちなみにアニメ版では
あらら?
下の朱色のアイスを水色のアイスが包み込む…下のアイスに朱里をあてはめればなんとかなるか、って感じか?
黒い食べ物を用いた心情描写の手法は佐伯先輩とコーヒーについても見られます。
それについては、こちらのづかさんの記事が大変参考になるかと。
アイス問題(2)
激エモエロ峠、第22話「気がつけば息もできない」でもアイスクリーム氏はしっかりとバイプレイヤーを務めています。ここはアニメ版の方で大きく改変されていました。僕はこの改変、ファインプレーだと思います。原作版は後に控えるあのエロ峠のための尺を確保するため、あっさりアイスが手渡されたのではないかと。
原作版
侑が燈子にどちらのアイスがいいのか尋ねていないので、初読時は同じ種類のアイスなのかと思いましたが
トーンが違いますね。やっぱり違う種類だ。
ここでは侑ママは溶けそうなアイスを問答無用で燈子に渡しています。
佐伯先輩ママ「アイスでも買ってあげましょうか」
飼い勝ち猫「あ、じゃあ『エイトプレミアム まるでマンゴーを冷凍したような食感のアイスバー』とハーゲンダッツ クッキー&クリームをお願いします」
アニメ版
こちらでは侑はグレープとオレンジのどちらが良いか、と燈子にたずねています。
ここでアイスがグレープ味とオレンジ味であることが判明し、もう一つ原作版との違いが見えてきます。
トーンの濃さから判断するに、原作版では侑ママが燈子に渡したのはオレンジのアイス。一方、アニメ版では燈子自らグレープ味をチョイスしています。
この違いもなんか深読みできそうですが...今はOPラストの花の色との符合、ということにして放置。これもやってたら本来の論旨から外れてしまう。
侑、アイスの選択を
このアイスバー、小糸家の家族構成から考えても箱入りアソートパックでしょう。侑が冷蔵庫を開けた時の箱内残留メンバーはわかりませんが、簡単のためにオレンジとグレープの2種類が、ともに充分本数残っていたとします。
侑▽グレープを2本持っていく
▽オレンジを2本持っていく
▽グレープとオレンジをそれぞれ1本ずつ持っていく
上二つはどうしても侑の好みが出てしまいます。結果として侑は一番下を選択します。
だって先輩がどっち食べたいかわからないから。自分がどっち食べたいかなんて考えてない。頭にあるのは「先輩に選択肢を提示しにいく」という意識です。
別にアイスは1種類だけでしたってことにして好きなの選んでもいいんですよ。バレやしないんだし。あーた自分ちのアイスなんだから好きに食べていいのよ?
なのに…やっぱり優しすぎない?
改変の効果
僕はアニメ版視聴時、アイス問題から
「侑からのドーナツ問題に対する可愛い意趣返し」のような含みを感じました。しかしその反面、侑の優しさ尊さ人たらしな側面も感じてしまいました。
さらに、侑の物語上の役回りが一層明確になったと思います。詳しくは後述。
提案者としての侑
ここからはかなりふはふはした話。
侑と出会うまでの燈子は彼女の演じる「澪」という物語を完全に支配できていました。もちろん佐伯先輩という強力なサポートもありましたが、しかしそれ以外にも、「澪」を演じることで勝ち得た周囲からの信頼を「澪」という物語の完結(生徒会劇)に使う、という奇妙な「手段」と「目的」の関係が見えます。
もうこの時点で燈子の世界は完結してしまっているんですよ。道が一本しかないどころか循環してる。「澪」を目指すためには「澪」にならないといけない。
迷いによる葛藤はないかもしれませんね。しかし、迷うことを許されてないだけなんです。迷うべき選択肢があることは、なんというか、正しいことだと思います。けど燈子の生き方にはそれがなかった。
そんな彼女の閉じた世界に待ったをかけられるのが、我らが侑王子ですよ。しかも待ったをかけるだけじゃない。侑はプランBを示せる。選択肢を示せる。
これが侑の主人公力です。
河原での、劇のとりやめの提案。部屋に誘うわ、ドーナツ選ばせるわ、また部屋に誘うわ、アイス選ばせるわ、水族館に誘うわ...。しまいには生徒会劇に対する「物語の結末の書き換え」なんていう、主人公力maxの選択肢をこよみ先生に提案します。
侑...かっこいい.........ちっこいけど。聞こえてる?効いてる?
な〜んてことをドーナツ問題とアイス問題を通して思ったりしたんですわ。
しかし!そんな物語の駆動力となった侑のリード力も......6巻まで。かな?
じゃんけん問題−2種類の“あいこ”−
話題をガラリと変えまして。
作中におけるじゃんけんについて、詳しくは次の記事で触れていくとして、ひとまずここでは、次の記事の軸となる「じゃんけんの2種類の“あいこ”の特性」を示して、記事の〆とします。
2人で行うじゃんけんの あいこ
→「一致による均衡」
3人で行うじゃんけんの あいこ
→「一致による均衡」or「完璧な不一致による均衡」
詳しくは次で。
では今回はこの辺で終わりにします。